、常勤保育士の月額給与は私立保育所34.8万円に対し、公立保育所36.6万円と差があります。保育士の給料は、公定価格や人件費構造の影響を受けやすく、安く見られがちです。

ただし、安いのが当たり前というわけではありません。

仕事量や責任の重さに対して手取りが低いと感じ、今の職場を続けるべきか迷うのは自然なことです。

実際の給与水準は職種だけで決まるものではなく、地域・職場の種類などさまざまな違いによって差が出ます。

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この記事では、保育士の給料が安いといわれる理由を整理したうえで、平均年収や他職種との比較、今後の見通し、給料を上げやすい職場の特徴を分かりやすく解説します。

Contents
  1. 保育士の給料が安いのは当たり前?
  2. 保育士の給料が安い理由
  3. 保育士の給料は本当に安いのか
  4. 保育士の給料は今後上がるのか
  5. 保育士でも給料が高い職場の特徴
  6. 保育士が給料を上げる方法
  7. 保育士は給料が安いのか判断する基準
  8. 保育士の給料に関するよくある質問
  9. 保育士の給料は安いのが当たり前ではなく選び方で変えられる

保育士の給料が安いのは当たり前?

保育士の給与が安いと感じる3要素
保育士の給料が安いことには制度や業界構造などの理由はありますが、安いのが当たり前だと受け入れる必要はありません。

給料に不満を感じやすいのは、手取りの額だけでなく、業務量や責任の重さ、見えにくい負担まで重なりやすいからです。

実際に東京都保育士実態調査では、就業後の実感として以下の項目が待遇への負担感につながっていることがわかります。

項目
割合
給与が低い
92.0%
保育以外の業務が多い
90.9%
体力面がきつい
89.7%

まずは、なぜ安いと感じやすいのかを整理し、自分の違和感が思い込みではないと確かめることが大切です。

ここでは保育士の給料が安いのは当たり前と言われる理由を詳しく解説します。

公定価格など制度的な理由はあるが当たり前ではない

保育士の給料は公定価格など制度的な理由で上がりにくい面がありますが、安いのが当たり前だとはいえません。

保育園は一般企業のように料金を自由に決めにくく、施設収入の上限が見えやすいため、人件費にも制約がかかりやすいです。

とはいえ、制度があるから低待遇でも仕方ないと考える必要はありません。

実際には、技能や経験に応じた処遇改善等の加算によって、月額最大4万円の加算が行われる仕組みもあり、制度の中でも待遇改善の余地は設けられています。

制度の要因と、今の待遇に納得できるかどうかは分けて考えてください。

注意点

制度の有無だけで判断せず、自分の園で加算や昇給が実際に給与へ反映されているかも確認する必要があります。

業務量と責任の重さに対して手取りが低いから安く感じる

保育士の給料を安いと感じやすいのは、手取り額に対して求められる業務と責任が重いからです。

子どもの安全や成長に関わる仕事に加えて、準備や調整まで幅広く担うため、金額以上に負担が大きく感じられます。

さらに、仕事は保育だけで終わらず、行事対応や計画書作成、保護者対応などの周辺業務も重なります。

東京都の保育士実態調査によると保育士が負担に感じやすい業務として、以下の項目が挙げられました。

項目
割合
行事(準備含む)
62.8%
保育計画書の作成
55.9%
保護者対応
49.6%
職員間の情報共有・打合せ
40.8%

業務量が多くても勤務時間内に収まり、手当や評価に反映されているなら今の職場で昇給や役職の見込みを確認しながら働き続けやすいです。

一方、周辺業務の負担が給与に反映されていないなら、求人票や就業条件を比較して、より待遇の良い職場への転職を検討してください。

見えない負担が多く給料が見合わないと感じやすい

保育士が給料を見合わないと感じやすいのは、子どもと関わる時間の外にも、表に出にくい仕事が多いからです。

書類作成や行事準備、保護者対応、職員間の情報共有は、子どもや安全を支える大切な仕事ですが、周囲からは見えにくく、手当や残業代にも反映されないこともあります。

とくに、午睡中や終業前後は見守りをしながら連絡帳や記録を書く場面も多く、集中して事務を進めにくい園もあります。

表に見えにくい仕事は、以下のとおりです。

  • 連絡帳、保育日誌、発達記録の作成
  • 行事の企画、準備、小道具や教材の作成
  • 個別相談や苦情対応、職員会議や情報共有
  • 清掃、消毒、安全点検、備品管理

こうした業務が勤務時間内に収まり、手当や評価に反映されているなら、今の職場でも働き続けやすいと判断できます。

持ち帰りや残業が当たり前になっているなら、業務量と給与のバランスを見直し、より条件の良い職場を比較検討しましょう。

保育士の給料が安い理由

保育士の給料が安くなる理由は、制度・経営・評価の仕組みが重なっているためです。

手取りの低さは個人の努力や能力だけで決まるものではなく、園の収入の決まり方や利益の出しにくさ、仕事内容に対する評価のされ方にも影響されます。

  • 公的な仕組みで収入が決まりやすく、園だけで大きく賃上げしにくい
  • 人手が必要で効率化にも限界があり、給与原資を増やしにくい構造である
  • 保育以外の業務や時間外負担が増え、給与とのずれが起きやすい
  • 責任や専門性が高くても、給与に十分反映されにくい傾向がある

ここでは、それぞれの理由を分けて見ながら、どこで給料が上がりにくくなるのかを解説します。

大幅に上げにくい仕組みになっている

保育士の給料が大きく上がりにくいのは、園の努力だけで自由に収入を増やせる仕組みではないからです。

保育の運営費は国が定める公定価格をもとに決まり、一般企業のように価格を自由に上げて売上を伸ばすことができません。

さらに、人件費の割合が高いうえに採用コストもかかるため、現場で頑張ってもその分がそのまま昇給に回りにくい実態があります。

給与が上がりにくいのは、以下の仕組みからわかります。

項目
内容
公的制度で運営費が決まる
基本給も勤続4〜5年程度を想定した設計になっている
施設収入の上限が見えやすい
認可施設は自由に保育料を上げにくい仕組みである
経営コストが昇給原資を圧迫する
人件費率が高いうえ、人手不足による採用コストもかかり、既存職員の昇給に回せる余力が限られる
昇給が頭打ちになりやすい
処遇改善等加算は一定期間まで上がりやすい一方で、その後は増え方が小さくなる

基本給が低くても、昇給制度や賞与の基準が明確で、長く働いたときの伸びが見える職場なら継続を考えやすいです。

月給総額が高く見えても基本給が低く、昇給ルールも曖昧な求人なら、入職後に年収が伸びにくいため、応募前に給与の内訳まで確認してください。

高く利益を出しにくいビジネスモデルになっている

保育施設で給料を大きく上げにくいのは、一般企業のように利益を増やしやすい事業ではないからです。

子どもの安全を守るには一定の人数が必要で、人を大きく減らして効率化することが難しく、支出の多くを人件費が占めます。

実際に、私立保育所では支出の約7割が人件費とされており、利益として残せるお金が限られやすい構造であることがわかります。

一般企業と保育施設の収益構造の違いは、以下のとおりです。

比較項目
一般企業
保育施設
売上
価格改定や販売拡大で伸ばしやすい
定員や制度の影響を受けやすく大きく伸ばしにくい
人件費の割合
業種によって差が大きい
高くなりやすく利益を圧迫しやすい
効率化のしやすさ
自動化や少人数化を進めやすい
安全面から必要人数を減らしにくい

人件費や採用費を含めた運営に無理がなく、賞与や昇給の仕組みまで整っている職場なら、将来の収入も見通しやすくなります。

一方で、月給が高く見えても基本給が低かったり、昇給制度が曖昧だったりする職場では、長く働いても年収が伸びにくいことがあります。

業務負担が増え賃金に見合わない状態が起きている

保育士の給料が安いと感じられやすいのは、現場で増えた業務が賃金に十分反映されにくいからです。

保育の仕事は子どもを見る時間だけでなく、事務処理や保護者対応など、人手不足の園ほど一人あたりの負担が重くなりがちです。

佐賀県で効率化のためにICTを導入した事例もありますが、負担軽減につながっていないと答えた人は23.8%おり、そのうち55.7%は導入前と業務量が変わらないと回答しています。

つまり、仕事の進め方が変わっても業務そのものが減らなければ、忙しさと給料の差は埋まりにくいということです。

注意点

業務が多い園でも手当や人員配置で負担を抑えている場合はあるため、忙しさだけで待遇を判断せず、給与への反映状況まで確認してください。

社会的に重要だが賃金評価が低い職種である

保育士は社会に欠かせない仕事ですが、その重要性が給料に十分反映されているとはいいにくい職種です。

子どもの命と成長に関わる責任が重く、保護者や地域の生活を支える役割も大きい一方で、その専門性が賃金として評価されにくいからです。

北海道の調査では、潜在保育士が復職しない理由として、「責任の重さや事故への不安」が67.9%、「賃金が希望と合わない」が44.0%でした。

仕事の重要性が高いほど人が集まりやすいわけではなく、責任の重さと待遇の差が大きいと担い手は増えにくいことがわかります。

責任や専門性に対して給与や手当が見合っていないと感じるなら、職場の評価制度や待遇条件を見直す判断材料になります。

保育士の給料は本当に安いのか

保育士の給料は、相場で見ても低めの水準です。

全職種平均と比べると年収差が大きく、感覚だけでなく相場としても安いことがわかります。

2019年の厚生労働省のデータでは、全職種平均の年収が500.7万円であるのに対し、保育士は363.5万円で、約137.2万円の開きがありました。

保育士と全職種の平均年収の比較引用:厚生労働省「保育士の現状と主な取組

この差を見ると、保育士の給料が安いと感じるのは主観の問題ではなく、相場に照らしても自然だといえます。

ここでは、平均との差や近い職種との違い、昇給の伸びに注目しながら、保育士の給与水準を順に見ていきます。

全産業平均と比較すると低い水準にある

保育士の給料は、近い専門職や福祉職と並べて見ても、月収や年収で上位にあるとはいえず、相場として高くありません。

特に、同じ対人支援の仕事でも、資格の重さや責任の大きさに対して収入差が出ている点が異なります。

厚生労働省のデータから、保育士と近い職種の給与水準を確認します。

職種
平均年収(推計)
月収
平均年齢
看護師
約483.1万円
33.4万円
39.5歳
保育士
363.5万円
24.5万円
36.7歳
幼稚園教諭
362.9万円
24.4万円
34.3歳
福祉施設介護員
362.4万円
24.5万円
42.6歳

保育士の給与は、看護師より低く、幼稚園教諭や福祉施設介護員と近い水準であることがわかります。

そのため、全産業平均だけでなく近い職種と比べても、保育士の給料は高いとはいいにくい状況です。

看護師や介護士と比較しても給与水準は低めである

保育士の給料は、近い対人支援の職種と比べて、責任や専門性のわりに給与が伸びにくいです。

同じように人を支える仕事でも、勤務形態や手当のつき方、資格の評価のされ方に違いがあり、その差が給与に表れやすいからです。

たとえば看護師は夜勤や交代勤務がある分、基本給に加えて各種手当が上乗せされやすく、年収差が広がりやすい傾向があります。

一方で、介護士とは近い水準に見えても、賞与や昇給の差で実質的な待遇差が出ることもあります。

そのため、似た仕事と同程度の待遇とは限らず、給与の内訳まで見て判断してください。

注意点

看護師や介護士とは夜勤の有無や手当の条件が異なるため、年収額だけで単純比較せず、勤務条件込みで見る必要があります。

一般職と比べても昇給や年収の伸びが小さい傾向がある

保育士は、今の年収だけでなく将来の伸びの面でも不安を感じやすい職種です。

一般職のように勤続年数に応じて年収が大きく伸びるとは限らず、中堅以降で昇給幅が小さくなりやすいからです。

とくに、役職に就かなければ収入差を広げにくい職場では、長く働いても生活に余裕が出にくいことがあります。

保育士と一般職の昇給イメージの違いは、以下のとおりです。

年数
保育士
一般職
入職初期
初任給からの上昇幅が小さめで、手当差も出やすい
企業規模や職種による差はあるが、昇給幅が大きい
5〜10年目
中堅になっても大幅昇給しにくく、役職がないと伸びにくい
勤続や評価に応じて年収差が広がりやすい
10年目以降
加算や昇給が頭打ちになりやすく、伸びが緩やかになる
役職や等級が上がれば年収も伸びやすい

昇給ルールが明確で、役職に就かなくても毎年の上がり幅が見込める職場なら、長く働いたときの年収も考えやすくなります。

月給が高く見えても昇給幅が小さい職場では、数年後の収入差が広がりにくいため、応募前に将来の伸び方を試算しましょう。

保育士の給料は今後上がるのか

保育士の給料は今後上がらないわけではありませんが、どの職場でも同じように上がるとは限りません。

国は処遇改善を進めており、平成25年度以降、累計で23%の給与改善と、別途月額最大4万円の給与改善を進めてきました。(参考:こども家庭庁「公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」)

一方で、制度上の制約や法人ごとの配分方針の違いがあるため、業界全体の流れだけで将来の給料を判断するのは難しくなります。

今後の見通しは、上がりやすい要因と上がりにくい要因を分けて見ることが大切です。

上がる要因
上がりにくい要因
処遇改善施策が続いている
制度上、賃上げ原資に限界がある
人手不足で待遇改善の圧力がある
法人ごとに配分や経営力に差がある
採用競争で条件を見直す園が増えやすい
改善分が一律に基本給へ反映されるとは限らない

ここでは、制度の動き、人材不足、職場差の3つから今後の見通しを整理します。

処遇改善加算により保育士の給与は段階的に引き上げられている

保育士の給料は、制度の面では少しずつ引き上げが進められています。

以前よりも待遇を見直す必要性が強く意識されており、国も保育士の賃金を人件費として確保する方向で仕組みを整えてきました。

処遇改善加算は一時的な補助ではなく、賃金改善計画や実績を前提に運用される制度です。

処遇改善の流れを時系列で見ると、賃上げの方向自体は続いていることが分かります。

時期
内容
2013年度以降
処遇改善を段階的に開始し、賃上げの仕組みが継続的に整備される
2022年2月〜
緊急的な処遇改善が実施され、収入を3%程度、月額9,000円引き上げる
2024年度
人事院勧告を踏まえた改善が行われ、過去最大級の処遇改善が実施される
2025年度以降
加算制度の整理と運用見直しが進み、賃金改善へつなげる運用がより重視される

2025年度からは加算制度を一本化し、現場の負担軽減と賃金改善の効率化が図られています。

ただし、処遇改善があるからといって全員の給料が同じように大きく上がるわけではないため、制度の有無だけで安心しないことが重要です。

2026年以降も人材不足により待遇改善の流れは続く可能性がある

保育士の給料は、2026年以降も改善の動きが続く可能性があります。

人手不足が続いており、園は人を集めるために給与や手当、働き方の条件を見直さざるを得なくなるからです。

調査では一般労働市場でも、2025年12月の有効求人倍率は1.19倍、2025年平均でも1.22倍となっており、求人が求職を上回る状態が続いています。

保育士に限った数字ではありませんが、人材確保の圧力が残っていることを考えると、待遇改善の流れは今後も続く余地があります。

ただし、求人が多いことと全員の給料が必ず上がることは同じではなく、改善の幅は職場ごとに差が出ると考えるべきです。

注意点

有効求人倍率は高い状況ですが、実際の給与へ反映されるかは園ごとの経営方針や採用状況によって変わるため、数字だけで判断しないことが大切です。

職場や法人によって給与差はさらに広がる可能性がある

保育士の給料は、今後は職場や法人によって差が出やすくなる可能性があります。

同じ制度があっても加算や人件費の配分により、園や法人の方針によって変わるからです。

2025年度からは処遇改善等加算が一本化されたことで施設の判断でより柔軟に配分しやすくなり、待遇改善に積極的な園とそうでない園で差がつきやすくなります。

給与が上がりやすい職場は、以下の特徴があります。

  • 処遇改善等加算を人件費へ計画的に反映している
  • 昇給基準や役職手当のルールが明確になっている
  • 住宅補助や各種手当など基本給以外の支援が厚い
  • 人材確保のために待遇改善へ前向きに取り組んでいる

昇給基準や加算の配分方針が明確で、手当の中身まで確認できる職場なら、今後も給料が上がる見込みを持ちやすいです。

求人票の月給は高く見えても、加算の使い方が不透明だったり、手当で金額を大きく見せていたりする職場なら、入職前に基本給や昇給制度まで確認してください。

保育士でも給料が高い職場の特徴

保育士でも、どの職場を選ぶかによって給与水準や昇給のしやすさは大きく変わります。

同じ保育士でも公立か民間か、法人の規模、地域、施設形態によって、基本給や手当、福利厚生に差が出るからです。

まずは、給料が高くなりやすい職場の特徴を確認してください。

職場
特徴
公立保育園
安定した給与体系と福利厚生が整いやすい
大手社会福祉法人
賞与や住宅支援を含めて待遇が安定しやすい
都市部の認可保育園
地域手当や自治体支援で条件が上がりやすい
企業主導型・事業所内
園ごとの差はあるが独自の待遇を設けやすい

給与が高い職場には、運営母体の安定性や手当の厚さなどの共通点があります。

以下では、それぞれの職場タイプがなぜ高待遇になりやすいのかを順に整理します。

公立保育園や大手社会福祉法人は給与水準が高い傾向

公立保育園や大手社会福祉法人は、保育士の中でも給与水準が高くなりやすい職場です。

公立は地方公務員の給与体系がもとになるため昇給のルールが分かりやすく、大手社会福祉法人も安定した運営基盤を持つことで賞与や手当を整えやすいからです。

実際に、2024年度のこども家庭庁の調査では、常勤保育士の1人当たり月額給与は私立保育所34.8万円に対し、公立保育所36.6万円で、公立のほうが約2万円高くなっています。

給与が高くなりやすい理由は、以下のとおりです。

  • 安定した財源があり、基本給を維持しやすい
  • 昇給や賞与の制度が比較的明確に整っている
  • 長期雇用を前提にした給与設計になりやすい
  • 住宅手当や福利厚生まで含めて条件を整えやすい

このような職場は、現状の月給だけでなく、将来的な給与が伸びやすい点が強みです。

ただし、公立は採用試験があり、大手社会福祉法人も園ごとの差があるため、名前だけで判断せず制度の中身まで確認する必要があります。

企業主導型や院内保育などは手当が多く年収が上がりやすい

企業主導型や院内保育などは、基本給だけでなく手当や福利厚生によって実質年収が上がりやすい場合があります。

設置する企業や法人ごとの制度が反映されやすく、シフト手当や住宅補助などがつくことで、月々の手取りが増えることがあるからです。

たとえば、待機児童の多い地域では保育士宿舎借り上げ支援があり、月額8.2万円を上限とした補助を受けられる場合があります。

給与を見るときは基本給だけでなく、手当や福利厚生を含めた実質的な条件まで確認することが大切です。

一方で、施設形態によっては処遇改善加算の対象外となる場合もあり、同じように見えても待遇差が出ることもあります。

注意点

手当が厚い職場でも、夜勤や変則シフトなど負担の大きい働き方が前提になる場合があるため、年収だけでなく勤務条件とのバランスも確認しましょう。

都市部や人材不足エリアでは給与水準が高くなりやすい

保育士の給料は、働く地域によって差が出やすく、都市部や人材不足エリアでは高くなりやすい傾向があります。

待機児童対策や採用競争が強い地域では、地域手当や自治体独自の上乗せ施策が入りやすく、全国平均より高い年収になりやすいからです。

特に、家賃補助や地域区分による加算がある地域では、基本給だけでなく実質的な手取りにも差が出やすくなります。

厚生労働省の都道府県別データを見ると、保育士の年収が高い上位の地域は以下のとおりです。

都道府県
平均年収
栃木県
435.0万円
千葉県
433.9万円
愛知県
403.6万円
神奈川県
402.6万円
京都府
399.9万円

年収が高い地域には、都市部だけでなく、自治体独自の補助や採用難の影響が強い地域も含まれています。

家賃補助や地域手当が厚い地域なら候補になりやすい一方で、家賃や生活費が高く補助も弱い地域なら、年収が高く見えても慎重に比較する必要があります。

年収だけで転居や転職を決めると、家賃負担で手取り差が小さくなることもあるため、生活コストまで含めて判断してください。

保育士が給料を上げる方法

保育士が給料を上げるには、収入が低い理由を知ったうえで、自分に合う改善策を選ぶことが大切です。

給料を上げる方法には、すぐに条件を変えやすいものもあれば、時間をかけて将来の年収を伸ばすものもあります。

今の不満が基本給の低さか、昇給の伸びにくさなのかで取るべき行動は変わるため、やみくもに動かず方法ごとの特徴を見極めることが重要です。

まずは、期間ごとに収入を改善する方法を確認していきましょう。

期間
方法
短期
給与水準が高い保育園へ転職して年収条件を見直す
中期
主任やリーダー職を目指して役職手当や昇給を狙う
長期
資格取得やスキルアップで評価されやすい立場を作る

早く年収を上げたい人は転職、今の職場で働きながら収入を伸ばしたい人は昇給、将来の選択肢を広げたい人は資格取得やスキルアップが向いています。

ここでは、保育士が給料を上げる具体的な方法を順に解説します。

給与水準が高い保育園へ転職する

保育士が給料を上げる方法の中では、給与水準が高い保育園へ転職するのが最も早く結果につながりやすいです。

同じ保育士でも、地域や運営母体、福利厚生の違いで年収差が出るため、職種を変えなくても職場を変えるだけで条件が改善することがあるからです。

高待遇求人を見分ける際のポイントは、以下のとおりです。

  • 基本給が現職より高いか
  • 賞与の支給実績が安定しているか
  • 手当や住宅補助が整っているか
  • 昇給制度の基準が明確か
  • 離職率や職場定着の状況が極端に悪くないか

基本給や賞与の条件が現職より明確に良い求人なら、転職は給料を上げる方法が選択肢になりやすいです。

しかし、月給総額だけ高く見えても、手当込みで基本給が低い求人や離職率が高い職場では、入職後に条件差を感じやすくなります。

転職を考えるときは、求人票の見た目の金額だけでなく、基本給、手当、働きやすさまで含めて比較してください。

主任や園長など役職に就く

現職を続けながら給料を上げたいなら、主任や園長などの役職を目指す方法があります。

役職に就くと、基本給に加えて役職手当や処遇改善等加算の対象になりやすく、長期的な収入アップにつながるからです。

副主任保育士や専門リーダーでは月額最大4万円、職務分野別リーダーでは月額5,000円の加算が設けられており、役割に応じて評価される仕組みもあります。

そのため、すぐに転職しづらい人にとっては、現職の中で収入を伸ばすことも可能です。

こども家庭庁の資料を基に一般保育士と役職ごとの給与の違いをまとめました。

役職
年収イメージ
特徴
一般保育士
466万円
現場保育が中心で、役職手当はつきにくい
主任保育士
535万円
現場統括や職員指導を担い、役職手当がつきやすい
所長(園長)
548万円
園全体の運営責任を担い、最も高い水準になりやすい

昇格ルートや役職手当が明確な職場なら、現職を続けながら給料を上げる方法として検討しやすいです。

一方、役職名だけで手当が小さい職場や、責任だけ増えて昇給幅が乏しい職場では、負担のわりに年収が伸びにくいことがあります。

そのため、役職を目指すときは肩書きだけでなく、手当額や昇格後の働き方まで確認することが大切です。

資格取得やスキルアップによって給与を上げる

今すぐ転職しなくても、資格取得やスキルアップによって将来の給料を上げやすくなります。

専門性が高い人材は、採用時に評価されやすくなったり、役職候補として見られやすくなったりするためです。

特に、認定こども園や療育分野、家庭支援や安全管理に関わる知識は、働ける職場の幅を広げるために有効です。

学んだ内容が応募先や担当業務に直結するほど、収入改善にもつながりやすくなります。

評価につながりやすい資格やスキルの例は、以下のとおりです。

資格・スキル
特徴
幼稚園教諭免許
認定こども園など応募できる職場の幅を広げやすい
療育・障害児支援の専門知識
専門性が必要な分野で評価されやすい
防災・安全管理の資格
園の安全体制を支える人材として役割を持ちやすい
家庭支援・保護者支援のスキル
地域支援や保護者対応に強い人材として評価されやすい

資格を取ればすぐに給料が上がるとは限りませんが、応募先の選択肢や担当できる業務が広がると、結果として年収を上げやすくなります。

費用や学習時間に見合うかを見ながら、今の職場や今後目指したい働き方に合うものを選びましょう。

保育士は給料が安いのか判断する基準

保育士の給料が安いかどうかは、相場だけでなく、自分の生活と将来に照らして判断することが大切です。

ここまでで保育士の給料水準や上がりにくい理由、改善しやすい職場の特徴を見てきましたが、最終的に、自分にとって今の条件が続けられる水準かどうかの確認が必要です。

生活が苦しいのか、今後上がる見込みがあるのか、負担に納得できるのかで選択は変わるため、感情だけで判断してはいけません。

ここでは、現職を続けるか見直すかを判断するための基準を整理します。

現在の給料で生活が成り立つかどうかを基準にする

今の給料が安いかどうかを判断するときは、まず毎月の生活が無理なく回っているかを基準にすることが大切です。

保育士の平均年収363.5万円、手取り月収の目安24.0万円で考えると、家賃や食費、固定費を払ったうえで、どれだけ手元に残るかを見ると判断しやすくなります。

生活が苦しくないかを見るときは、毎月の手取り額に対する出費の割合を確認してください。

生活が回るかどうかの目安を簡単に試算すると、次のようになります。

項目
月額の目安
家賃
7.5万円
食費・日用品
4.5万円
水道光熱費・通信費
2.5万円
交通費・交際費・雑費
4.0万円
手残り
約5.5万円

家賃補助がある人や実家暮らしの人なら余裕を持ちやすい一方で、都市部の一人暮らしで家賃が高い人は、同じ年収でも貯金しにくくなります。

毎月ほとんど残らない、急な出費で赤字になる、将来の住居費や結婚資金を考えると不安が強い場合は、生活面から見ても改善を考える必要があります。

今の職場で昇給やキャリアアップの見込みがあるか

今の給料が低くても、数年後に上がる見込みがあるなら、すぐに職場を変えなくてもよい場合があります。

今の月給よりも、昇給の仕組みや役職への道筋が実際に用意されているかが判断基準になります。

今の職場に将来の伸びしろがあるかは、次の点で確認してください。

  • 昇給額や役職ごとの賃金差が就業規則などで明示されている
  • 主任やリーダー職に進む条件や年数の目安が共有されている
  • 面談や評価の場があり、頑張りが処遇にどう反映されるか確認できる
  • キャリアアップ研修や外部研修を受ける支援体制が整っている
  • 管理職だけでなく専門分野を深めるキャリアの道がある

こうした条件がそろっている職場なら、今の給料がやや低くても将来的に改善する可能性があります。

昇給ルールが曖昧で役職ポストも限られているなら、働き続けても収入が伸びにくいため、現職を継続するかを慎重に考える必要があります。

仕事内容と給与が見合っているか

今の給料が安いかどうかは、額面の高低だけでなく、毎日の働き方に納得できるかでも判断できます。

命を預かる責任が重いのに、見えにくい業務や時間外の負担まで重なっているなら、見合わないと感じるのは自然です。

実際に、就実教育実践研究センターの調査では、給与に不満を持つ保育士の64.4%は責任の重さに見合っていない、71.1%は持ち帰り残業の多さを理由に挙げています。

以下のような職場は、仕事内容と給与のバランスが整っているといえます。

  • 勤務時間内に主要な業務をおおむね終えられている
  • 持ち帰り仕事や残業が常態化していない
  • 保護者対応や書類作成の負担が過度に偏っていない
  • 責任の重さに対して手当や評価がある

複数当てはまらない項目があるなら、今の不満は気分の問題ではなく、待遇とのずれから生まれている可能性があります。

つらさだけで辞めると決める必要はありませんが、負担の大きさに対して給与が追いついていないなら、働き方や職場を見直すきっかけにはなります。

生活できる水準でも、責任や時間外負担が大きく給与に反映されていないなら、今の職場を見直すことも検討してください。

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保育士の給料に関するよくある質問

保育士の給与事情について、制度や背景を理解しても実際のところはどうなのかといった疑問を抱く方は少なくありません。

特に、給料が安い根本的な理由や将来の見通し、生活への影響など気になるポイントを確認したい方も多いと思います。

ここでは、保育士の給料に関するよくある質問をQ&A形式で簡潔に解説します。

保育士の給料が安いのはなぜですか?

保育士の給料が安くなりやすいのは、園の収入が制度によって決まり、大幅に上げにくいからです。

保育所は一般企業のように利益が上がりにくく、人件費の割合も高いため、給料へ回せる余力は限られています。

加えて、書類作成や保護者対応などの負担が多い一方で、その重さが賃金に十分反映されないことも多くあります。

保育士の給料は今後上がるのでしょうか?

保育士の給料は、今後も上がる余地があります。

国による処遇改善が続いており、人手不足を背景に待遇を見直す園も増えやすいからです。

ただし、どの園でも同じように上がるわけではなく、園の方針や加算の使い方によって差が出ます。

職場によって昇給制度や手当の見直しに差があることは注意してください。

保育士は給料が安くて生活できないのは本当ですか?

保育士が全員生活できないわけではありませんが、地域や暮らし方によっては厳しく感じることがあります。

家賃が高い地域で一人暮らしをしている人と、住宅補助がある人や実家暮らしの人では、同じ給料でも手元に残る額が変わるからです。

毎月の生活費を払ったあとに貯金や急な出費に回せるお金がほとんど残らないなら、生活面では無理が出ていると考えられます。

保育士の給料は仕事内容に見合っていないのでしょうか?

保育士の給料は、仕事内容に見合っていないと感じる人も多くいます。

保育業務に加えて、書類作成や保護者対応、持ち帰り仕事まで重なると、金額以上に負担が重く感じやすいからです。

勤務時間外の仕事が多い、手当がほとんどつかない、責任の重さに納得できない場合は、見合っていないと判断できます。

保育士は何年目から給料が上がるのでしょうか?

保育士の給料は、年数を重ねれば自動的に大きく上がるとは限りません。

昇給の時期は、各園が定める給与規定や役職手当の仕組みによって決まるため、働く環境によって左右されるからです。

一般的な目安としては、経験3年目前後でリーダー職の加算、7年目前後で副主任などの役職手当がつく園も多く見られます。

一方で、毎年の昇給幅が小さい園やキャリアアップの道が限られている園では、長く勤めても収入が伸び悩む傾向にあるため、自身の状況に応じた判断が必要です。

保育士は転職すれば給料は上がりますか?

保育士は、転職によって給料が上がる可能性があります。

地域や運営母体、手当の内容が違う職場を選ぶと、同じ保育士でも年収条件が変わるからです。

ただし、転職しただけで必ず上がるわけではなく、基本給が高い園を選ぶか、賞与や住宅補助まで含めて比較するかで結果は変わります。

基本給や賞与まで見ないと、思ったほど年収が伸びないことがあることを理解してください。

保育士の給料は安いのが当たり前ではなく選び方で変えられる

保育士の給料は、職種だけを理由に安いままだと受け入れる必要はありません。

我慢を続けることではなく、今の職場の条件や将来の伸びしろを確認し、自分に合う働き方を選ぶ必要があります。

給料が安い理由には制度や業界構造がありますが、公立と私立でも月額で約2万円の差があるように、職場や選び方によって改善できる余地は十分にあります。

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 保育士の給料が安く見られやすい理由を理解する
  • 相場や他職種との違いから給与水準を確認する
  • 今後の待遇改善の可能性と職場差を把握する
  • 給料が高くなりやすい職場の特徴を見極める
  • 転職やキャリア設計による収入改善策を選択する

今の給料に不満があるなら、職種全体を理由に諦めるのではなく、まずは自分の職場条件を見直してください。

現職継続と転職のどちらが合うかを見極めたうえで、納得できる収入と働き方を選んでいきましょう。

保育士の給料は職場選びによって変わる職種である

保育士の給料は、職種が同じでも職場選びによって変わります。

基本給の決め方、賞与や手当の厚さ、昇給制度の有無が園や法人ごとに違うためです。

たとえば、昇給制度や住宅補助が整っている職場なら年収は上がりやすく、制度が曖昧で手当が薄い職場なら長く働いても差がつきにくくなります。

そのため、保育士だから安いと決めつけるのではなく、どの条件の職場で働くかを見直すことが重要です。

注意点

月給が高く見える職場でも、基本給が低く手当頼みのケースはあるため、応募前に賞与・昇給条件まで含めて確認しましょう。

給料が安い原因を理解すれば改善できるポイントが見えてくる

給料が安い原因を分けて考えると、どこを変えれば改善しやすいかが見えてきます。

制度そのものや地域相場は自分だけで変えにくい一方で、職場の配分方針、手当の厚さ、業務負担の重さは見直せる場合があります。

保育所の支出の約7割〜8割が人件費に充てられていることを踏まえると、補助金や加算をきちんと職員へ還元している園かどうかは重要な判断材料です。

原因を知ることで、転職すべきか、今の職場で昇給や役職を目指すべきか、自分に合う方向を選びやすくなります。

ポイント

何が変えられて、何が変えにくいのかを分けて考えると、感情だけで悩むよりも行動に移しやすくなります。

転職やキャリア設計によって年収アップは十分に可能である

保育士でも、働く場所やキャリアの積み方を変えれば年収アップは十分に狙えます。

すぐに収入を上げたいなら高待遇の職場への転職が有力で、今の職場に残りたいなら役職や専門性を高める方法が現実的です。

収入を上げる道は一つではなく、職場選び、昇進、資格取得、働く地域の見直しなどを組み合わせることで改善しやすくなります。

今の自分が動きやすい方法から選べば、給料を変える可能性は十分あります。

ポイント

早さを重視するなら転職、今の職場で積み上げたいなら役職や資格取得というように、自分に合う方法を選ぶことが年収アップにつながります。

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